歯科医院が取り組む4つの院内感染症対策とは?

今回は歯科医院で取り組んでいる感染症対策についてお伝えしていきます。

コロナウイルス感染が広がっている昨今、テレビや新聞等のメディアでは、エアロゾルや歯科医院は感染のリスクが高く危険である等と伝えられていますが、感染症はコロナウイルスだけではありません。歯科医院ではいつも感染症と戦っており、今回新型コロナウイルスが蔓延したからといって急遽感染症対策を始めたわけではありません。

では私たちが、普段からどのような感染症対策を行っているのか、そしてコロナウイルスが広がる中で強化した院内感染症対策等についてお伝えしていきます。

歯科医院が取り組む4つの院内感染症対策とは?

私たちは常日頃から次の4つの院内感染症対策を取り組んでおります。

  • 患者様一人ずつに1セットの器具の使用と減菌処理
  • 口腔外バキュームによる飛沫物の吸収
  • 歯科治療後のチェアーやライトなどの殺菌・消毒
  • 3密状態を避けるために常に換気やソーシャルディスタンスの実施

先程申し上げました通り、私たち歯科医院は新型コロナウイルスが蔓延したから、急遽感染症対策を取り組んでいるわけではございません。常日頃から感染症には細心の注意を持ちながら、患者様の治療を行っております。現在では通常の感染症対策に新型コロナウイルス対策として、3密を避けてソーシャルディスタンスを実行できるような環境作りを行っております。それでは、上記4つの院内感染症対策について詳しくご紹介いたします。

院内感染症対策①:患者様1人ずつに1セットの器具の使用と減菌処理

まず、治療やお掃除の際に必要不可欠なミラーやピンセット等の器具のセットは、患者様1人ずつに1セット、ご家族の方でも滅菌された清潔なものと交換しています。もちろん器具を載せている紙のトレーや紙コップ、エプロンは使い捨てを利用しております。

また、歯を削ったり磨いたりするのに使用しているタービンやバーは、患者様ごとにオートクレーブと呼ばれる高圧蒸気滅菌器で滅菌処理を行っています。

このオートクレーブは、皆さんにはあまり馴染みのないものかと思いますが、当院で使用しているオートクレーブはクラスBという非常に性能の高いものを導入しています。

オートクレーブには、クラスB以外にもクラスNとクラスSがあります。それぞれどのように違いがあるのかを申し上げますと、簡単に言うと滅菌処理できる器具の種類です。

クラスNはミラーや単純な器具のみの滅菌で、滅菌処理後は保管ができませんのですぐに使用しなければならないというデメリットがあります。次にクラスSですが、先程のクラスNの滅菌物に加えて、メーカーが特定した製品や口腔内を吸うチューブ等の滅菌処理が可能です。そして最も滅菌可能な器具等の種類が多いのが、クラスBです。唯一クラスBだけが、歯を削るタービンやコントラ、多孔体のもの等全ての形状の被滅菌物を滅菌できるとされています。

このクラスBのオートクレーブを導入していることにより、治療で使用するほぼ全ての器具の滅菌が可能となり、より清潔な状態で治療を行うことができています。

院内感染症対策②:口腔外バキュームによる飛沫物の吸収

歯科医院の感染リスクが高いと言われる理由として最も多いのが、飛沫による感染かと思います。飛沫による感染対策としては、専用の掃除機(口腔外バキューム)を使用し、飛沫物を吸い込み、感染症対策を行っております。

また、ドクター、スタッフ共に治療中は防滴ゴーグルを着用し、飛沫物が直接付着するのを防いでいます。

院内感染症対策③:歯科治療後のチェアーやライトなどの殺菌・消毒

治療が終われば、患者様ごとにチェアーや私たちが触れたライト、バキューム等を消毒用エタノールで消毒しています。

また、ドクターやスタッフが治療の際に着用しているグローブ(ゴム製手袋)ですが、これももちろん患者様ごとに全て交換し、使い捨てにしています。グローブをつけた状態で触る可能性のある診療室内のパソコンのマウスも、清潔なものと不潔なものとで分けています。手洗いも入念に行っています。

そして、新型コロナウイルスが広がったことにより、普段以上に感染症対策が求められるようになりました。当院でも上記に加え、より対策を強化しています。

まずチェアーや周辺の消毒は、エタノールに加えてグルタラールと呼ばれるより強力なウイルス殺菌力のある消毒液での二重消毒を行っています。少し刺激臭のある消毒液ですが、その分殺菌力は高く、以前から感染症患者様の消毒として使用しています。

院内感染症対策④:3密状態を避けるため換気やソーシャルディスタンスの実施

院内では3密の状態をできる限り作らないように、常時窓や玄関口を開放し換気を行い、チェアーの間隔を可能な限り広く取り、待合室でも間隔をあけて座って頂けるよう椅子を追加で配置しました。

また、一時的ではありますが本棚やパンフレット、ファミリールームのおもちゃ等接触の可能性のあるものを撤去させて頂いております。

来院時に履き替えて頂いているスリッパも、患者様ごとに回収し、消毒処理を行っています。

患者様が手に触れる部分の消毒回数も通常の2倍以上とし、万全の対策をとっています。

歯科医院の院内感染症対策レベルは非常に高い

実際にテレビやマスコミで歯医者は感染のリスクが高く危険だと言われていますが、歯科医院での患者様の感染例は日本ではほとんど報告されていません。

それはあらかじめ、感染に対してリスクが高いということを歯科医師自体がよく理解し、普段から感染対策には力を入れているからなのです。当然、虫歯や歯周病も細菌感染ですので、歯科医院では毎日が細菌やウイルスとの戦いなのです。ですから、新型コロナウイルス感染が広まっても歯科医師はその対処法・対策についての知識を持っていますし、歯科医師一人一人が感染症のプロフェッショナルといっても過言ではありません。

まとめ

『こんな時期だから…』という理由で歯の治療を放置しているのは望ましくありません。『たかが歯1本、痛みなくなったしいいや』と思っていると、後々取り返しのつかないことになりかねません。

私たちは新型コロナウィルスに関係なく、患者様にいつ来ても安心して治療を受けて頂けるよう日々感染症対策には力を入れています。

これからも清潔な医院作りを心がけて行きますので、安心してご来院下さい!

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