インプラント治療では、なぜ「仮歯」を被せるのか?その理由と重要性を解説!
インプラント治療を受けていただいている方の中には、「どうして仮歯を被せるのだろうか?」と疑問に感じている方もいらっしゃると思います。「インプラントを埋入したらすぐに人工歯を被せたほうが早く終わるのに」と考えてしまうのかもしれません。
当院のインプラント治療では、必ず仮歯を被せる治療方法を採用しております。また、他院では、仮歯を被せるのが難しい手術の場合でも、当院なら必ず被せるようにしております。なぜなら、インプラント治療における仮歯には、患者様を守る役目があるからです。
さらに、歯には「食べる」という目的以外にも様々な役割があります。自分らしく美しい笑顔をするためや、他人へ良い印象を与える役割などです。当院では、患者様のQOL(Quality of Life)の向上を目的としたインプラント治療を心掛けているため、仮歯を必ず被せております。
ということで今回は、なぜインプラント治療において仮歯を被せるのか?、その理由や重要性を解説し、当院のインプラント治療に対する心掛けなどについて詳しくご紹介いたします。
仮歯についてご説明の前に…知っておきたいインプラント治療の基本的な流れ
仮歯についてご説明の前に、インプラント治療の流れを簡単に知っておきましょう。インプラント治療の流れは以下の通りです。
- カウンセリング・術前診査・治療計画
- インプラントの埋入手術・治癒期間
- アバットメント・人工歯の装着
- 定期検診
仮歯を被せるタイミングは『2.インプラントの埋入手術・治療期間』です。現在、インプラント手術を終え、インプラント体(人工歯根)を骨に埋め込み、仮歯を被せて過ごしている方は、次にアパットメント(人工歯とインプラント体の接続要素)と人工歯を装着するために、二回目の手術を行います。
実は、このアパットメントと人工歯をスムーズに装着するためにも、仮歯は重要な役割を持っています。また、その他にもインプラント治療において仮歯は、患者様を守るために必要不可欠なのです。
インプラント治療における仮歯を使用するのはなぜ?その役割と重要性とは
なぜ、インプラント治療において仮歯を被せるのでしょうか。それは、仮歯には以下のような役割を持っているからです。
- 患部を細菌などから守るために仮歯を使用する
- 歯並びの乱れを防ぎ、人工歯を入れるためのスペースを確保するため
- 患者様のQOL(Quality of Life)を保つため
それぞれの役割と重要性についてご説明いたします。
患部を細菌などから守るために仮歯を使用する
インプラント体を埋め込んだ部分をそのまま露出していると、口の中の細菌が傷口に入り込み、細菌感染を引き起こし、炎症を起こすことがあります。炎症を起こしてしまうと、インプラント体と顎の骨が上手く結合できず、インプラント体が固定されずに脱落します。また、硬い食べ物や刺激の強い食べ物が、直接傷口に触れることで、インプラント体そのものや周辺に大きな負担を掛けることになります。このように、患部を細菌などから守り、安全に今後のインプラント治療行うために、仮歯を被せるのです。
歯並びの乱れを防ぎ、人工歯を入れるためのスペースを確保するため
インプラント手術によって出来た隙間を両側の歯が、その隙間に向かって傾いたり、動いたりすることで歯並びが乱れることがあります。これは、隙間があると埋めようとする歯の性質が関係しています。このような歯の性質を防ぐためには仮歯は必要不可欠なのです。もし、仮歯を被せずに治療を進めていくと、アパットメントや人工歯を装着するのが困難になります。
患者様のQOL(Quality of Life)を保つため
仮歯は、傷口の回復期間のQOL(Quality of Life)を、インプラント手術前と同じように保つ役割を持っています。QOL(Quality of Life)とは、人生の幸福度を表す指標の一つで、人間らしい生活、自分らしい生活を送り、満足した生き方ができているのか?という哲学的な思想になります。
インプラント手術が終えたあと、数か月間の回復期間を設けるのですが、仮歯を被せないとその期間は歯が無い状態です。その結果、おいしく食事を取ることができなかったり、歯がないことによって、表情を隠すようになったりするため、周囲に気を使いながら過ごすことになります。
また、仮歯が無いことで発音がしにくくなり、仕事や日常正確に支障をきたすことがあります。
当院では、治療の期間中は、患者様に不自由を与えない、日常生活に支障がないことに全力を注いでおります。そのため、患者様のQOLを一時的に下げるようなインプラント治療はいたしません。必ず仮歯を被せるインプラント治療を行うようにしております。
インプラント治療において仮歯の期間とは?
インプラント治療では、インプラント体を埋入してから2ヵ月~6ヵ月の間はアパットメントと人工歯を装着することができません。装着できるようになるタイミングは、インプラント体と骨や周辺組織との結合の確認が取れるまでです。患者様によっては、お口の状態や健康状態に応じて、仮歯の期間が異なります。仮歯の目安の期間につきましては、担当医に質問して確認しておくと良いでしょう。
インプラント手術後に仮歯の注意点
インプラント手術後、2ヵ月~6ヵ月の間に仮歯を被せて日常生活を過ごすことになりますが、仮歯には以下のような注意点があります。
- 患部に刺激がない食事を心掛ける
- 歯磨きは優しく丁寧に行う
- 仮歯の部分を指で触わらない
あくまでも仮歯なので、本物の歯と比べると耐久力が劣りますし、突然、何かの拍子で抜け落ちたりすることがあります。自然に仮歯が外れることに関しては防ぎようがありませんが、ちょっとしたことで外れることがあるため、上記のようなことを注意しなければなりません。それでは、上記3つについて詳しくご説明いたします。
患部に刺激がない食事を心掛ける
仮歯はプラスチック素材で出来ているため、硬い物を食べると仮歯が割れたり、欠けたりすることがあります。また、刺激の強い食べ物は患部に刺激を与えるため、傷口の回復を遅らせる原因にもなります。そのため、硬い物や刺激が強い食べ物は避けるようにしましょう。
また、ガムなどの粘着性のある食べ物は仮歯が取れてしまう原因になるため食べないようにしてください。後から取ることが想定して仮歯を被せているので、意外と簡単に取れてしまいます。
歯磨きは優しく丁寧に行う
歯磨きの際に、歯ブラシを強く歯に押し付けて磨く方がいらっしゃいますが、仮歯を被せている期間は、歯磨きを優しく丁寧に行うように心掛けてください。仮歯はあまり耐久性のある物ではありませんし、本物の歯のように固定されておりません。そのため、強く擦りすぎると仮歯が取れてしまいます。元々、歯を強くゴシゴシと磨くことは良くないことなので、仮歯の期間を利用して歯に優しい歯磨きを身に付けましょう。
仮歯の部分を指で触わらない
仮歯はご自身の歯ではないため、少しの間は口の中に違和感があるかもしれません。しかし、気になるからといってあまり指で触るのはよくありません。なぜなら、指には多くの菌が付着しているからです。菌が仮歯に付着してしまうと、細菌感染をしてしまう可能性があります。また、仮歯を引っ張ったり、指や舌で押したりすると仮歯が取れたり、傾いてしまうため、仮歯にはできるだけ触れないようにしましょう。
インプラント治療中に被せている仮歯が取れてしまったら?
インプラント手術後に仮歯を被せるには、患部を細菌から守るため、歯並びの乱れを防ぐため、患者様のQOLを保つためとご説明いたしました。仮歯が取れてしまうとこれら全てが行うことができなくなります。
仮歯が取れてしまったら、できれば当日に、インプラント手術を受けた歯科医院に受診しましょう。インプラントは歯科医院によって使用している器具などが異なるため、必ずインプラント手術を受診した歯科医院に対応してもらいましょう、
当院に来院される仮歯を入れずにインプラント治療を行った方の事例
他院でインプラント治療を行い、仮歯を入れずにインプラント治療をしたため、すぐに噛んで駄目になり、当院に来院される患者様がいらっしゃいます。また、仮歯を入れずにインプラント治療を進めると、歯並びが悪くなるという事例もあります。
このような、患者様にとって不利益になるようなことを避けるために、当院では、骨とインプラント体の確実な定着を図るため、即時荷重(手術したその日から噛めるようするインプラント治療)を行わないように徹底しており、噛むということ以外の機能にも重点をおいて、仮歯を入れております。
まとめ
当院としては、インプラント治療における仮歯は細菌感染を防ぐためや、アパットメントや人工歯を正確に装着するために、非常に重要な役割を持っていると考えております。また、健康な歯・美しい歯を手に入れたくてインプラントをするにもかかわらず、歯がない期間があるというのは患者様のQOLを落とすため、本末転倒だと考えております。
当院では、患者様のQOLを保ちながら、安心・安全のインプラント治療に全力を注いでおります。インプラント治療をお考えの方は、ぜひ当院へご来院下さい。